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2008年3月

2008年3月24日 (月)

ドーベルマンピンシャー

夕方すぎさんのドーベルマンピンシャーを見かけた。少し距離があったけれど垂直に立っている耳、流れるような体の線と長い脚はあのドーベルマンピンシャーに違いないと思った。少し距離が縮まってやはり3本足で静止してこちらを見ている。「なんてお名前ですか?」「りゅうです」「りゅう・・・精悍な姿によく似合ういい名前だ・・」いつも見かける広いドックの跡地ではなく、広々とした芝生の上に立っていた。しばらくしてまた「りゅう」を目で追ったが長いりゅうの姿はもうどこにもいなかった。

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2008年3月23日 (日)

リュウマチ科

休憩室で朝食をとっていたその女性は何となく多めの飲み物とお弁当らしきものをテーブルの上にのせていた。私は今朝食事を摂ってきたのでその必要もないし、だから薬を飲む必要もなかったわけだが売店で買った牛乳を飲もうと思い休憩室に入った。今日は4週間ごとの順天堂病院の診察日である。以前、2~3回同じ科の中待合で見かけた女性であった。印象的だったのですぐにその女性であるとわかった。首には固定するためか保護するためなのか、宇宙飛行士が装着しているような器具が回されており、歩行のため左右2本の特殊な杖を脇の下に充て、それぞれの手で杖を頼りながら歩行する。両足とも足首から外側に湾曲しているので、靴も変形し、足裏が水平に床に着地していないので両脇に挟みこんだ左右の杖を頼りに歩いている。私は以前女性と会った時、若さから独身であろうと思っていた。そして、何も見なかったように目を伏せて時を流していた。
偶然私は今、その女性と広くはない休憩室で向かい合っている。彼女は中一と小三の息子がいること、毎朝早起きして部活を始めた息子の弁当作りをしていること、早朝二階からコトッ、コトッと音をたてて降りてくるのが階下に寝ている義父母に気づかいすること、独身時代は看護士をしていたが必ず近くに嫁ぐからと約束した母を裏切って遠くに嫁いでしまった、など笑いながら話した。二人の息子の話をしている目の輝きは、息子たちにとって世界一の母親であり大好きなかけがえのないたった一人の母親であることが痛いほど伝わってきた。ふっくらとした顔を見ていた私はふと、彼女が持参したおむすびを持っている手の指が異常に細いのに気が付いて驚いた。そしてテーブルの上に置かれている包みに改めて気がつくと私はあわてて「私は済ませたのですから気づかわないでどうぞ食べてください」と、うながした。彼女はまた笑って「今日は診察の後点滴を受けなければなりません。それは5~6時間かかる点滴なので夕方までかかります。これは昼食用のお弁当なんです」そう言ってまた笑った。「そろそろ診察の時間になりそうね」二人はゆっくり立ち上がり二階に向かった。途中彼女はエレベーターで階上へ、私はエスカレターに足を運び前方を見据えた。それは、「これまでに回復して本当にうれしい」と言った彼女の言葉を思い出し傲慢で思い上がった私の心がいかに薄っぺらで恥ずかしいものであったか打ちのめされていた。


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2008年3月20日 (木)

ドーベルマンピンシャー

スギさんの犬は俊足で大きい。静止した時じっと目を見据えると、私を襲い倒し私の眼や顔を鋭い爪でえぐられそうな気がして思わず目をそらす。カットされたキリッと直角に立つ耳、短毛で流れるような体の線はドーベルマンピンシャーに違いないとも思った。ピョンピョンジャンプして飛ぶような走り方はカンガルーにも似ているとも思っていた。大きな犬だが、よく見ると足が3本しか無い。後ろ足が足の付け根から落されている。「スギさん、ワンコちゃんの足どうなさったんですか?」こちらから挨拶するようになって何回目かの今日、リードを持っているご主人に聞いてみた。「腫瘍ですよ」「?」「癌ですよ。何軒か病院を回って横浜の病院で手術しました。」「よかったですねー。こんなに元気になられて。」私は思わず微笑んだ。何もない広いドックの跡地は陽が西の山に沈みかけていた。

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